旅に出る当日に、ようやく集まった聖女のパーティーは、とても個性的なメンバーで構成されていた。
腕は確かなメンバーばかり。でも、今までそれぞれが、ソロでしか活動していなかったらしい。
「あの……。よろしくお願いします」
剣聖、魔術師、盗賊、聖女。……そしてなぜか、守護騎士。
これだけ見ると大変バランスの良いメンバーに見える。
でも、寄せ集めだと揶揄されるように、なんというか……。
やっぱりほかに言い方が見つからない。
――つまり、個性的なのだ。
挨拶もそこそこに、鏡を見始めた魔術師。
胸の谷間が破壊的な魅力を放つ彼女は、これでもかというほどセクシーな格好をしている。
ミニスカートから見えるすらりとしていながら、程よく筋肉が付いた美しい脚。
「ミルというの。よろしくね、かわいい聖女様?」
そんな会話で始まった、ミルさんとの関係。
けれど、旅の間も、彼女の素顔を見たことがない。
魔術師のミルさんは、いつも完璧にお化粧をしている。
戦いの最中でも、その髪の毛が乱れることすらない。
そう、不思議に思って聞いてみたら、形状記憶の魔法を常時髪と化粧にかけているのだと言っていた。
才能と魔力の無駄遣いのような気もしたが、大事にするものは人それぞれなのだと、納得することにした。
やる気があるのかと、通常のパーティーならば怒られてしまいそうだけれど、ここは中継ぎ聖女のゆるいパーティーだ。誰も文句を言う人がないせいか、ミルさんはのびのび美を追求している。
でも、やるときはやる人なのだ。


