最後の地権者/その13
アキラ
あの後、赤子さんは怒って、再度電話切っちゃった
またさっきみたいに、すぐかかってきたけど…
結局2時間以上、捲し立てられた
要はオレのこと、心配してくれてる
このことは以前から感謝してるし、それどころか、あの人は恩人みたいなもんだ
...
寝床についても、なかなか眠れず、さっきの電話のやり取りが耳に残ってる
「…いかず後家んとこでアンタ、服脱いだんだってな?いきなり。ひょっとしてできてんのか、あのオバさんと?呆れたもんだわ、いくつ年離れてるんだよ⁉誘われりゃあ、何でもアリだもんな、お前…」
オレはきっぱり否定したけど…
「…別に、アンタとは一回寝ただけだ。何やかんやはないさ。アンタ、嫌いじゃないけど、ホント、イラつくんだよな、そういうとこ‼」
この人、正直言って酒入るとクセ悪い
「…いい加減、人に流されるとこ、何とかしないとよ!お前、分かってないだろ?自分のこと!…いいか、今度の4人は、お前除きでプロって考えなんだよ…。今回逃せば、またお前だけ置いてきぼりだ。K地区の地上げ終われば、マッドハウス、お役御免でなくなるんだろうが。そしたら、お前もお払い箱だって!」
酔っぱらってカッカしてるが、話は理路整然だった
オレは黙って聞いいるだけだった…
「…それまでに何とかしなくちゃってさー、こっちが手回してやりゃ、てめえで地上げ手伝っちゃってて。自分の居場所なくなること、一生懸命やってやんの。アホ以外の何者でもないよ、稀に見る間抜けだわ…」
ボロクソだった、今日は…
でも、どうなんだろう…?
あの人が言ってることって…
100%、おっしゃる通りってとこじゃないのか…?
オレ、いつもこんなだ
人に流されてばかりだって‼
ここにたどり着いたのも、ギターはじめたのも、自分の意思で目標決めて、決断したんじゃない
勝手に自分のポジション決め込んで…、これまでずっとだ
最後に赤子さんはこう言った
「…さんざんのこと言ったけど、アンタ、傷ついたか?応えてないだろ?筋金入りなんだよ、そういう意味では。この件は、もう石田さんが建田に話を持ってってる。あの金の亡者は今、こういう状態でアンタは離さないだろうよ。アンタがケツ捲って、飛び出るくらいじゃなけりゃ、この話…、プロへの道は立ち消えだ。いいか!一歩踏み出すってのは、自分で目の前のカベ、ぶち破らなきゃなんないんだって!それできないお前、ずっと流されっぱなしだ。あとはお前、自分で決めろ。じゃあな…」
最後は突き放された感じだった
それ自覚出来たら…、電話切ってから、急にさびしくなった
女々しいな、オレ…、今夜は眠れそうにないや
アキラ
あの後、赤子さんは怒って、再度電話切っちゃった
またさっきみたいに、すぐかかってきたけど…
結局2時間以上、捲し立てられた
要はオレのこと、心配してくれてる
このことは以前から感謝してるし、それどころか、あの人は恩人みたいなもんだ
...
寝床についても、なかなか眠れず、さっきの電話のやり取りが耳に残ってる
「…いかず後家んとこでアンタ、服脱いだんだってな?いきなり。ひょっとしてできてんのか、あのオバさんと?呆れたもんだわ、いくつ年離れてるんだよ⁉誘われりゃあ、何でもアリだもんな、お前…」
オレはきっぱり否定したけど…
「…別に、アンタとは一回寝ただけだ。何やかんやはないさ。アンタ、嫌いじゃないけど、ホント、イラつくんだよな、そういうとこ‼」
この人、正直言って酒入るとクセ悪い
「…いい加減、人に流されるとこ、何とかしないとよ!お前、分かってないだろ?自分のこと!…いいか、今度の4人は、お前除きでプロって考えなんだよ…。今回逃せば、またお前だけ置いてきぼりだ。K地区の地上げ終われば、マッドハウス、お役御免でなくなるんだろうが。そしたら、お前もお払い箱だって!」
酔っぱらってカッカしてるが、話は理路整然だった
オレは黙って聞いいるだけだった…
「…それまでに何とかしなくちゃってさー、こっちが手回してやりゃ、てめえで地上げ手伝っちゃってて。自分の居場所なくなること、一生懸命やってやんの。アホ以外の何者でもないよ、稀に見る間抜けだわ…」
ボロクソだった、今日は…
でも、どうなんだろう…?
あの人が言ってることって…
100%、おっしゃる通りってとこじゃないのか…?
オレ、いつもこんなだ
人に流されてばかりだって‼
ここにたどり着いたのも、ギターはじめたのも、自分の意思で目標決めて、決断したんじゃない
勝手に自分のポジション決め込んで…、これまでずっとだ
最後に赤子さんはこう言った
「…さんざんのこと言ったけど、アンタ、傷ついたか?応えてないだろ?筋金入りなんだよ、そういう意味では。この件は、もう石田さんが建田に話を持ってってる。あの金の亡者は今、こういう状態でアンタは離さないだろうよ。アンタがケツ捲って、飛び出るくらいじゃなけりゃ、この話…、プロへの道は立ち消えだ。いいか!一歩踏み出すってのは、自分で目の前のカベ、ぶち破らなきゃなんないんだって!それできないお前、ずっと流されっぱなしだ。あとはお前、自分で決めろ。じゃあな…」
最後は突き放された感じだった
それ自覚出来たら…、電話切ってから、急にさびしくなった
女々しいな、オレ…、今夜は眠れそうにないや



