瑛ちゃんと話をした後に二宮先生の元に二人で向かうと、診察時間外ではあったが話を聞いてから診察してくれた。二宮先生は丁度、午後の予約の診察当番では無かったらしい。

生理不順の為、婦人科には何度か通院した事はあるが慣れないものである。検査は初めてではなかったが、やはり抵抗があった。恐る恐る診察を受け、瑛ちゃんと共に再び話を聞く。

「え? 検査薬試してないの? てっきり、検査薬試してからの診察かと思ってた」

「じ、実は……陽菜乃の生理不順には気付いていたけど、妊娠は誤診かもと思ったら怖かったのと、体調から判断してぬか喜びして、実は妊娠してなかった! となったら寂しいから試そうって言えなかった」

二宮先生は目を丸くして驚いていたが、その後の瑛ちゃんの一言に大笑いしていた。

「天下の心臓外科医がビビってるなんてね、鷹司もまだまだね。おめでとう、妊娠4週目ってとこかな?」

言動と行動を弄られて真っ赤な顔をしている瑛ちゃんを見て更に笑う二宮先生。にこにこしながら、私達に妊娠を告げた。

生理不順なのではっきりとした週数ではないかもしれないが、胎児の状況からして4週目という判断らしい。生理不順だと妊娠しにくいらしいが、赤ちゃんが私達の元に天から降りてきてくれた事に感謝する。

「わ、赤ちゃんがお腹の中にいるんですね! 嬉しいな、私もママになれるんだなー」

「俺もついにパパかぁ……」

お腹を擦りながら思っている気持ちを外に吐き出す。突然の事で心の準備は出来ていないが、赤ちゃんが宿った事が心底嬉しくて、そわそわしてしまう。

「食べづわりでついつい沢山食べたくなるけど、体重増えすぎてキツくなるのは自分だから、ノンシュガーの甘い飴を舐めるとかして乗り切ってね」

「はい、頑張ります」

二宮先生は親しみやすく、色々とアドバイスをしてくれる。診察時間外なのに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

診察が終了し、瑛ちゃんよりも先に帰宅した私。この気持ち悪さの正体は赤ちゃんだったのか……とお腹を擦りながら、ソファーに横になると眠気が襲って来る。

いつの間にか、自然と目を閉じていて、幸せな気分のままで瑛ちゃんと赤ちゃんの夢を見た。