音を立てて揺れるワイパーの向こう側に、少し開けた視界を見つけると、自然にアクセルを軽く踏んで、静かに車を走らせていた。
まだ、昼過ぎの人も疎らな国道沿いが、夜へ変わったようにアスファルトの色が濃く映る。
信号で止まる度に雨音が屋根を煩く叩いていた。
気持ちを確かめることなど出来る訳がない。
それは、とても曖昧で不確かな物だ。
口にした瞬間に呆気なく崩れてしまう。
今まで彼女を見てきたから知っている。
その証拠に、いつもの言葉が無い。
駅で降ろして、と言う彼女を一度は止めたが、構わずにドアが開いて直ぐに閉められた。
激しさが増す一方の土砂降りの中、傘も差さずに走ることもなく、ただ、前を見つめて彼女は駅へと消えて行く。
助手席には微かな温もりがあるだけで、他には何もない。どこを触れても手掛かりすらない。
彼女がフードを被り続けた理由を、残像のように浮かべていた。
髪の毛を落とすことも、甘さのある香りも、そして、煙草の匂いを躱した……。
完璧なアリバイのように準備し、計画を実行した人。
ただ、想いが募るだけで、悲しみが込み上げた。
雨は車体を叩きながら、止め処なく流れてゆく。
それが、自分の涙か、フロントガラスを見てるせいか、分からないままだった。



