今から七年前の出来事。
一回り以上も歳の離れた男性に気に入られ、今では考えられない金回りの良い対応が彼女に付いた。
売れるまでは良く有る話で、昔の風習だと語り出す。
当時は手に負えない向こう見ずな性格で、恐れ知らずの界隈は元より世間も知らない十代だった。
様々な手配や考慮で確実に道を歩き出し、男性は勢いに任せて意のままにする事も出来たが、優先して育成する過程の中で自己顕示欲を満たしていた。
順調かと思えた時に勘違いをした女性と揉め事を起こし、口喧嘩から暴力まで発展して警察沙汰になるのを止めても抗力が無いまま。
『躾も覚えない動物なんか飼うな。碌に世話も出来ない奴に仕事が出来るか、ばーか』
彼女は男性に向かって躊躇いも無く言い放ち、自尊心を傷つけた代償に業界の底で押さえ込まれて居た、と話を終えた。
現在とは全く別人の様子を聞き、思わず鼻で扱う。
抗うにしても食い下がる小娘に大人の対応では無い。
同時に水族館へ誘われた時の姿が重なる。
『別に、慣れてるし、大した事じゃないよ』
一度でも辛いはずの経験を、平然と重ねる強さは何処から沸くのか……。
どうして言えるのか、などと問うのは無粋で理解に苦しむ。
「なんで、そんなふうに生きてんだよ……」
ふと、吐き出して見ると、彼は呆れたように軽く鼻息を飛ばした。



