「いや、いないって本当に」


「本当か?まだ思い出してないだけなんじゃねぇの?まあ初恋もまだなやつが、誰かと付き合えないか」


「何よ、うるさいな!どうせ楓だって初恋もまだなくせに!」



図星なのかうっと言葉に詰まった楓はそのままそそくさと布団に入り電気を消した。


こいつ、逃げたな…!



これ以上何かを言い合っていても仕方がないので、私も目を閉じて眠りに落ちた。





それから楓はテスト一週間前からは私の未練探しを中断して勉強に励んでいた。


一応うちの高校は進学校だから、定期テストはみんなちゃんと勉強をするのだ。



そんな感じで気づけば私の49日まで残り二週間となっていた。



「…んあ」



テスト最終日、楓について来て学校に来たはいいものの、暇で学校探検をしている時に疲れて空き教室で昼寝をしていたら、起きた時には夕方を過ぎていた。


これでは昼寝ではなくて夕寝だ。



楓に心配をかける前に帰らなくては。



–––ペタッ。ペタッ。ペタッ。