何も言わずに歩き出した楓の後を慌てて追いかける。



「ねえ、どこに行くの?」


「着けばわかる」



電車を乗り継いで来た場所は、柴崎さんが旅立った場所でもあるし、私にとっても思い出深い遊園地だった。



「ここ…」


「この前来た時は乗り物に乗っていないから、乗りたくなったんだ」



そう言いながら楓が入場券を買いに行ってしまった。


たしかこの前は「一人で乗るのはつまらない」みたいなことを言っていたのに、どういった風の吹き回しだろう…。



「どこか行きたいところはあるか」


「え?いや、私はどうせ乗れないし、見えないんだから楓が行きたいところに行けば…」



そこでやっと気づいた。


…もしかして、私が乗り物に乗りたかったと言っていたのを覚えていたのだろうか?


だから最後の日に、ここに連れてきてくれた?



「…ふ、ふふっ」


「何笑ってんだよ」


「いや、なんでもない。そうだなージェットコースターについていける気はしないから、あ、メリーゴーランド乗りたいー!」