LIBERTEーー君に

「ん。妻は演奏家支援のため『フレデリック』というサロンを経営していてね。興味があるなら演奏してみるのもいいだろう」

「はい」

「詩月は「フレデリック」で演奏のバイトをしているんだ。コンクールの曲を練習がてら、詩月と演奏してみるのもいいだろう」

貢はハッと閃いたような表情をし、頷いた。

「横浜のモルダウでも、サロンのような形式だったのだろう?」

「ええ。でもモルダウはそんな優雅なものではありませんでした。学生ばかりで」

「客層が違えば、気づくことも学ぶことも多いし、演奏する姿勢も変わってくる。良い経験になるはずだ」

「はい」

「詩月との合わせ、詩月とよく話し合ってスケジュール調整しなさい。ミヒャエルとの合わせもあるから大変だと思うが……BALでの演奏もなかなか面白いものだし」

「はい。周桜はこちらで蜜の濃い経験をしているんですね。ケルントナー通りの演奏を聴いていると、よく解ります」