LIBERTEーー君に

「ミヒャエル。大学の先輩が恐らく、ブラームスコンクールに出場する」

「安坂とか云う奴か?」

「ああ。うちの大学のオケは安坂さんがコンマスになって、国内学生オケコンクール2連覇している。安坂さんは強敵だよ」

「EVEのBAL演奏準備で話した時は、真面目が取り柄みたいな奴だったけどな」

「まあ、演奏に性格が現れるとはいうけどな。それはさておき安坂さんは、こちらの策、見抜いているかもしれない」

ミヒャエルは詩月の表情をしげしげと見つめた。

「課題曲と自由曲、本腰を入れて仕上げ、弾きこなさないと勝ち残れない」

ミヒャエルは1次審査に、パガニーニ/カプリース23番とバッハ/無伴奏パルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006。

セミファイナルにモーツァルト/バイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K216、第1楽章とカデンツ、シューマン/ヴァイオリンとピアノのためのソナタ2番二短調op121とブラームス/ハンガリアン舞曲。