LIBERTEーー君に

ーーOK

スマホの画面越し、詩月の演奏姿がはっきりと映し出され、ピアノ演奏が聞こえてきた。

郁子は音量をMAXにし、机の上に置いた。

向かい側の席に座る理久が画面を覗きこみ、カウンターからマスターが小走りで出てきて、画面を覗きこんだ。

詩月はマスクを着用し、口元までは見えない。

薄い色のふわふわした髪、碧緑色の瞳が見える。

ピアノを弾く詩月の細く長い整った形の指が、見える。

そして、掠れた声の歌声が聞こえた。

ーー♪Wasche Freundlichkeit weg
Liebe ist ein Fluss

「えっ!?」

郁子は不意に聞こえてきた歌声に、思わず声を漏らした。

「周桜くんの歌、これはまた珍しい」

「なかなか上手いじゃないか」

ーー♪Liebe ist eine Blume, die Blume des Lebens