「ヴァイオリンは師匠の仇討ちがしたかったんだ。それに『ガダニー二のシレーナ』で勝ちたかったんだ。でも本命はピアノの方だ」
「ヴァイオリン科のフランツ教授が『詩月がピアノ科にいってしまった』と、寂しがっているぞ」
「時々は顔を出しているし、彼にはたひたび呼び出されている」
「迷惑そうだな。すごいことなんだぞ、あの教授のお気に入りなのは」
「感謝はしている。師匠の鉄面皮に滅入っているのを察してか、フランツ教授は厳しい指導はなさらなかった」
「教授は大抵お前の演奏の聴き手に徹していた」
「彼はいつも有意義な感想をくださった。だから、僕は彼の前では気負わず、自由に弾けた」
「ったく、コンクール本選は鳥肌ものだったし、スタンディングオベーションの上に、アンコール。結果を聞くまでもなかった」
「ヴァイオリン科のフランツ教授が『詩月がピアノ科にいってしまった』と、寂しがっているぞ」
「時々は顔を出しているし、彼にはたひたび呼び出されている」
「迷惑そうだな。すごいことなんだぞ、あの教授のお気に入りなのは」
「感謝はしている。師匠の鉄面皮に滅入っているのを察してか、フランツ教授は厳しい指導はなさらなかった」
「教授は大抵お前の演奏の聴き手に徹していた」
「彼はいつも有意義な感想をくださった。だから、僕は彼の前では気負わず、自由に弾けた」
「ったく、コンクール本選は鳥肌ものだったし、スタンディングオベーションの上に、アンコール。結果を聞くまでもなかった」



