LIBERTEーー君に

「わたしも観ていられなかったよ」

「それを言うなら、俺もだな。詩月はコンクール予選の課題曲もままならなかった」

「だろ? なのに、急にスッキリした顔してピアノを弾きだしたんだ。何があったのかは聞いてないけど……。なのに、緒方……何なんだ」

ミヒャエルはモヤモヤして仕方なかった。

「人のコンクール、心配して付き合ってる場合か」

「ミヒャエル」

ユリウスがミヒャエルの背をポンと叩いた。

「音楽のこと以外は、苦手なんだ彼は。何か音楽に没頭していないと、自分自身を保っていられないんだろ」

「バカか」

「まあ。そう言わずに、付き合ってやってくれ」

「ーー言われなくても。それに、助かっているのは俺の方だし」

「ミヒャエル、何か上に。風邪引いちゃうかも」

ビアンカがユリウスと話しこんでいるミヒャエルの背をつついた。