LIBERTEーー君に

カノンは同じ旋律を異なるタイミングから開始して演奏する。

輪唱とも言い、主題を変えず同じ度数や度数度を変えて、完全な模倣や反復が特徴だ。

主な曲に「かえるの歌」があると言えば、ああと納得できるだろうか。

詩月は演奏しながら、そんなことを考えていた。

詩月の演奏するカノンに、BALの客たちが賑やかになってくると、詩月はさらにアレンジし始めた。

カノンをクラシックからジャズ調に変形させた。

「あいつ、完全に遊んでいる」

ミヒャエルが言うと、詩月が声を上げた。

「ミヒャエル、ヴァイオリン弾いて。ビアンカ、連弾しないか」

ビアンカは待っていましたとばかりに椅子を持ってきた。

詩月はスッと、ビアンカが弾きやすいよう椅子をずらした。

「あのピアノではダメだったけれど、今からは連弾もできるのね」

ビアンカの声は明るく、はずんでいた。