6月に入り、日差しが強くなった。

昼間は気温が25℃くらいになる。

薄手の半袖でも、うっすらと汗が滲んだ。

日光の眩しさはサングラスがなければ強すぎて、目が痛いくらいだ。

詩月は室外ではUVカットメガネを手放せなくなった。

日差しが強すぎて肌がヒリヒリし、接触冷感でUVカットの長袖を羽織った。

街頭演奏もできる限り日陰でと頑張っていたが、さすがに暑さには敵わなかった。

BALやマルグリットのサロン「フレデリック」など、場所を替え演奏することが多くなった。

6月下旬。
BALには新しいピアノが入った。

宗月とハインツ、ユリウス、エィリッヒ、マスター、BALの客、詩月もエリザベートコンクールの賞金を投資し、資金を出し合い購入した。

何とベーゼンドルファー製のグランドピアノだ。

「中古品だが、これでも破格値だった」

宗月は満足げに言った。