LIBERTEーー君に

「知ってるだろ、『ラデツキー行進曲』」

「即興、このピアノで!? 無理無理無理」

ビアンカは全力で演奏拒否をした。

Habe es(わかった)

詩月は短くため息をつくと、最初から弾き始めた。

「ラデツキー行進曲」はヨハン・シュトラウスが作曲した。

1848年革命の最中に、当時はオーストリア帝国領だった北イタリアの独立運動を鎮圧した81歳のヨーゼフ・ラデツキー将軍を称えて作曲された作品だ。


ラデツキー行進曲は「ウィーンを革命から救ったのは、ヨハン・シュトラウスである」とまで言われ、好評を博した。

詩月はラデツキー行進曲を弾きながら、ヨハン・シュトラウスのワルツ「ローレライ=ラインの調べ」を思い出していた。

ーー同じ作曲家の曲とは思えないな

おどろおどろしい曲ではないのに、タイトルは嫌な響きだと思った。