LIBERTEーー君に

詩月が演奏曲を模索したスケッチは、数週間でスケッチブック1冊ぶんになった。

「詩月、詩月と演奏したいと志願してきた演奏者で演奏したら?」

ビアンカが詩月のスケッチブックを捲りながら言った。

「詩月と演奏して遜色ないレベルの演奏者だと挙手してくる強者は、そう多くはないはずだし」

「それだと増上慢すぎないか、僕が自画自賛しているみたいで」

「でも実際、ブラームスコンクールのピアノ伴奏や、エリザベートコンクールのヴァイオリン部門での詩月の演奏は検索すれば判る訳だし」

「クラシックは格式が高いと思われたくはないんだ。誰でもが楽しめる、そんな感覚で演奏したいし聴いてもらいたいんだ」

ビアンカは腕組みし「ん……」と首を傾げた。

「『XCEON 』知っているよな」

「えっと……詩月が楽曲提供しているグループだよね」

「そう。彼らはクラシックを演奏するアイドルグループだ」