詩月は咳きこみ忙しく喘ぐように、息をついた。

「……君のその手は……音楽を奏で……るための……」

ミヒャエルが詩月の体を支え、ビアンカが詩月の背中をさすった。

「……ヴァイオリンを……弾く大事な……手……」

ロベルトは地面に膝をついた。

うずくまり、自分の手を見つめ泣き崩れた。