LIBERTEーー君に

詩月はロベルトが未だ決心が着かないでいるのを察していながら、ピアノを演奏し始めた。

さあ、ピアノ演奏に着いてこいと言うように。

ロベルトにヴァイオリン演奏をしなくてはならないように、揺さぶりをかける。

詩月のピアノ演奏に惹き付けられ、観客はさらに増えていく。

待ったなしの「ヴァイオリン」コールの声は、大きくなり、ロベルトが演奏し始めるのを今か今かと待っている。

「チャンスを逃すな」

詩月の声に、ロベルトはゆっくりと顔を上げ、歯を食い縛った。

眉間に皺を寄せ、怒りを堪えているようにも見えたし、緊張で怯えているようにも見えた。

「腹を括れ。弾きたいように弾け。他のことは考えるな」

ロベルトが鋭い目で詩月を睨んだかと思うと、ヴァイオリンを構えた。

サッと姿勢を正し「ふざけるな!」と叫んだかと思うと、いきなり演奏し始めた。

詩月はフッと、笑った。