LIBERTEーー君に

ピアノ奏者は詩月の顔を確かめるように、見下ろし見つめ、ハッとした。

「ーー詩月っ!?」

声にはならない言葉が漏れた。

詩月はマスクの上から口元に、そっと人差し指を立てた。

「|ich möchte mit ruhigem Gewissen spielen. Ich möchte mich nicht mit dem Virus anstecken.《平常心で演奏したい。ウィルス感染したくない》」

「|Ok, danke. Das war eine tolle Leistung.《OK、ありがとう。良い演奏だった》」

ピアノ奏者は再度、詩月の身体を抱きしめた。

詩月はピアノ奏者がハグを解くとキャップを深めに被り直し、ピアノの前に座った。

「ミヒャエル、始めよう」

詩月はサッと手を挙げ、ミヒャエルに合図した。

「あぁ」