LIBERTEーー君に

「まだ、そんな他人行儀に呼び合ってるの? 知りあって何年にもなるのに?」

ビアンカがブツブツ言いながら、指折りし数えてい
る。

ミヒャエルは詩月とビアンカが話している間に、資料を袋に詰め直し、バックヤードに入っていった。

「ーー初めて会ったのは14歳の時、ピアノコンクールで。再会した時は16歳だった」

ビアンカが目を丸くしている。

「どこまで純粋な……詩月、ちゃんと告白はしているんだよね?」

「ああ、一応」

詩月は短く答えて、更に頬を紅くした。

「名前、ちゃんと呼んであげなよ」

「タイミングが掴めなくて」

詩月は耳まで紅くなった。

「形無しだな詩月。ビアンカ、そのくらいにしておいてやれよ」

カウンターの中で下ごしらえをしていたマスターーが、詩月とビアンカの様子を見かねて言った。

「マスター。日本人はシャイだと聞いていたけれど、詩月はシャイどころではないよ」