LIBERTEーー君に

「ワクチン接種も来年には始まると聞いていますが」

「リスクのある人から優先的にとは聞いていますけど、接種許可をもらえるかどうか判らないので」

プロダクション職員と役員は詩月に関する調査書を捲り、詩月の病状を確かめた。

「ああ。確かに、微妙ですね。副作用も強くなるだろうと言われていますね」

「ええ。厄介なモノをばらまいてくれたと思います」

「はっきり仰られるんですね」

「沈黙は金とは思いませんから。言わなければ伝わらないことの方が多いし、大事なことほど伝わりにくいので」

プロダクション役員は詩月の見た目からは想像できないほど、詩月のしっかりした物言いに驚いていた。

「ずいぶん印象が違いますね」

「何も言わないことで誤解されたり、損をすることが度々ありましたから」

「それが理由ですか、周桜の名を敢えて名乗らないのは」