選択肢は多い方がいい。

こっちもそっちもイケルみたいな。

気をつけるのは、潰されないことだ。

詩月は返事を1週間考えた。

優先事項を箇条書きし、プロダクション職員にアポイントを取った。

数日後、プロダクション職員は役員を1人同行して訪れた。

話し合いにはユリウスが同席した。

役員が自己紹介と名刺渡しを済ませると、詩月はテーブルに1枚、箇条書きした文書を差し出した。

「先ず、こちらをご覧いただけませんか」

きちんと活字で打ち出した文書には、十数事項が記されていた。

詩月自身の体調に関すること、XCEON への学曲提供に関すること、ビアンカとの動画配信に関すること、演奏活動に関することなど。

詩月は簡潔に記した。

XCEON とのコラボ活動の際に経験した不自由さや煩わしさ、SNSのトラブルや迷惑行為も文書に記載した。