LIBERTEーー君に

戻った早々、師事している教授に報告すると、ピアノ伴奏者を紹介してやったのにと、しっかり小言を言われたらしい。

教授は紹介した伴奏者に替わり伴奏したのが、詩月だと話すと、急に態度を変え身を乗り出し執拗に訊ねてきたと云う。

貢は周桜宗月の実力とネームバリューは絶大だなと、驚いていた。

「安坂さん自身の演奏がなければ、あの『雨の歌』はなかった。周桜の名はただの飾りです」

詩月は躊躇いなく、言い切った。

シュテファン広場のストリートピアノ演奏もケルントナー通りのヴァイオリン演奏もコンクール後、さらに観客が増えた。

ビアンカが周桜Jr.としてでなく、ただ「詩月」と云うアカウント名で配信しているチャンネルだ。

野次や誹謗中傷、批判、冷やかしのコメントも多いが、フォロワー数はコンクール前の1.5倍に迫る勢いだ。

詩月の元には、アーティストプロダクションから面談したいと連絡がきた。