LIBERTEーー君に

詩月は木陰のベンチにユリウスとエィリッヒに挟まれ、窮屈そうに座っていた。

「インタビューは終わったか?」

貢とミヒャエルに声をかけたのは、ユリウスだった。

「まいったよ。インタビューは2位のコンテスタントが独占していたけれど観客に囲まれて、なかなか解放してもらえなくて」

「だろうな。チャイコフスキーがあれほど感傷的で感情豊かだとは、思っていなかっただろうしな」

「あの演奏でもセミファイナルの演奏には及ばなかった」

エィリッヒは貢とミヒャエルよりも悔しそうだ。

「周桜、演奏しよう。何でもいい、無性に演奏したいんだ」

詩月は目を丸くしながら、頷いた。

「何でも、という訳にはいかないでしょう。開催地に敬意を評して、ブラームスでしょ」

「ブラームスなら任せとけ。ケルントナー通りで何度も演奏したからな」

ミヒャエルは颯爽とヴァイオリンを構えた。