貢とミヒャエル、続けて型破りな演奏。

詩月は彼らの演奏に審査の評価など、何の意味があるのかと思った。

コンクール結果は最終奏者の審査後、各審査項目の総合得点で、決定した。

優勝者は無しだった。

2位は貢でも、ミヒャエルでもなかった。

貢とミヒャエルの審査員の評価は「ファイナル演奏に、セミファイナルを越える演奏を期待したが、セミファイナルの演奏には及ばなかった」と云うものだった。

貢は5位で審査員特別賞、ミヒャエルは4位で聴衆賞を受賞した。

「インパクトのある演奏、記憶に残る演奏だったんだ。順位が全てではないよな」

詩月が貢とミヒャエルの結果を受けて、「おめでとう」よりも先に言った言葉だ。

2位のコンテスタントがインタビューを受けている側で、観客に囲まれ、騒がれていたのは貢とミヒャエルだった。