LIBERTEーー君に

第2楽章は、さらに「極めて生き生きと」という指示だが、「生き生きと」というにはほど遠い。

年々、シューマンの精神障害は悪化していく。

聴力の不調、手の痺れ、体の不調……など。

シューマンは衰えていく気力を振り絞り、曲を仕上げた。

「生きたい」という気力が創作意欲へ向かわせたのか、或いはクララへの愛が音楽への情熱を駆り立てたのか。

ミヒャエルには、いくら考えてもわからなかった。

自分なら愛する女性のために、苦しみの中から這ってでも情熱の全てを注ぎ、曲を作るだろうと思った。

「極めて」とは、そういう意思の現れかもしれないと。

詩月の奏でるピアノの音色が心地良かった。

3楽章では「深き苦しみの淵より我れ汝を呼ぶ」の旋律と4つの変奏曲から成る。

「静かに単純に」と指示されている。

どれほど運命に翻弄され、人生に苦しんでいても、神を信じて救いを求めていこうという意思、希望が表現されていく。