LIBERTEーー君に

シューマン/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第2番番二短調op121は4楽章で構成されている。

第1楽章第主部には「生き生きと」との指示がある。

だが、とても快活とは言い難い曲だ。

シューマンがまるで苦しみ悶え、叫び、独白しているような印象を受ける。

懸命に這い上がろうとする意思の力とでもいうのか。

シューマンの生涯は、苦悩と絶望と葛藤の日々だった。

生きることがどれほど、苦痛だっただろうと思う。

それでも「生き生きと」と指示した曲には、どれほどの思いがこめられているのか。

ミヒャエルは力強さの中にも、憂いと哀愁を含みヴァイオリンを奏でた。

詩月のピアノもミヒャエルのヴァイオリンに同調しつつ、ヴァイオリンの音色を暖かく包みこんだ。

苦悶を吐露し、嘆くシューマンをクララが宥め励まし寄り添うように。

シューマンを抱きしめるクララの姿が思い浮かんだ。