LIBERTEーー君に

やるじゃないかーー詩月は思った。

この調子なら、ピアノ伴奏が「もっと」と煽る必要も伴奏に埋もれることもないと思った。

詩月と貢は互いの音を尊重しつつ、譲らずぶつかり合った。

曲の解釈が詩月と貢では違い、練習中に何度も議論したが、最後まで妥協点は見つからなかった。

その分も含め、貢のヴァイオリンは今までで1番歌っていた。

貢の前のコンテスタントの指定曲もブラームスだった。

審査項目には演奏技術、音楽性、解釈、表現力、音楽の理解度、舞台度胸などがある。

観客席ではユリウスとエィリッヒが比較しやすいだろうなと興奮気味で、演奏を見守っていた。

1曲目のブラームス/F.A.E.ソナタ スケルツォ ハ短調を難なく弾き終え、2曲目のブラームス/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第1番 ト長調Op.78「雨の歌」を演奏し始める。

1曲目よりも更にギアが上がった。