LIBERTEーー君に

セミファイナル通過するのは半数、10名~12名。

やれるだけのことはやった。

審査会場に向かう前、貢と詩月はシュテファン寺院に向かった。

貢がセミファイナル通過祈願と気持ちを落ち着かせるため、儀式のようなつもりで、詩月を誘ったのだった。

「1次の時も祈ったんですか」

貢は詩月に問われ、素直に「そうだ」と答えた。

詩月は願掛け1つで落ち着けるなら、それもいいのかもしれないと思うが、祈りと運と当日の出来映えは比例しないだろうと思った。

貢は10分ほど念入りに祈って、パンと自分の頬を叩いた。

「よし、行こうか」

気合いはじゅうぶん、充電できたようだ。

コンクール会場、ペルチャッハはケルントナー通りから徒歩で約15分の場所にある。

ヴェルター湖北岸に作られた夏のリゾート地だ。

ブラームスがここで交響曲第2番とヴァイオリン協奏曲を作曲し、1877年~1879年の夏を過ごした。