「たぶん。アカウントが同じ」

「へぇ~。にしても、スゴい演奏だな。鐘の音に諭されているようだ」

ミヒャエルとビアンカが歓喜しているのに対し、ユリウスは顔をしかめていた。

神妙な面持ちで、詩月を見守っていた。

詩月が計算ずぐで演奏しているように見えて、演奏したいように演奏していると。

街頭演奏を中学生の時からおこなっている詩月は、場の空気を読むのに長けている。

冷静に演奏しているように見えて、場の雰囲気で感情任せに演奏しているに違いないと。

詩月が貢とミヒャエルのピアノ伴奏に付き合い連日、場所を替え曲を替え、コンクールに勝たせるために、奮闘している様子を観ている。

自分自身の練習と伴奏に加えて、所属しているオーケストラなど、ゆっくり休めてはいないことが、心配でならなかい。

詩月はユリウスとマルグリットの心配を余所に、出かけていく。

少しは自分の体を労り控えてほしいと願うはがりだ。