LIBERTEーー君に

だが、まだ大人しい。

もっと主張していい、もっと自我を出していいのに、と詩月は思う。

貢は詩月には負けたくないと言った。

それなら……詩月のやることは決まっている。

大人しく合わせる必要はない。

ヴァイオリンに寄り添って演奏していては、貢は今以上に主張しないだろう。

詩月は演奏を中断し、指をほぐし、貢を見上げた。

覚悟してください、詩月は反撃を開始した。

貢が「何?」と眉間に皺を寄せた。

「大人しく寄り添うつもりはありませんよ。安坂さんの本気はそんなモノではないでしょう、違いますか?」

貢が「クソッ」と舌打ちをしたように見えた。

詩月を敵でも視るように睨んだかと思うと、ふいっと目を反らした。

ミヒャエルとビアンカは作業をしながら、詩月と貢の演奏を聞いている。

詩月と貢の様子を窺って時々、足を止める。

「ミヒャエル、スゴいね」