LIBERTEーー君に

「おまえはホント、見た目と中身のギャップが半端ないな。清廉潔白みたいな顔をしているのに」

貢は言いながら「アハハ」と笑い出した。

「安坂さん、合わせてみましょうか」

詩月はバツが悪いのか、笑い出した貢には答えずピアノの前に座った。

「そうだな」

「安坂さんはピアノ伴奏を気にせず、自由に弾いてください」

貢はヴァイオリンの調弦を済ませると、目を閉じゆっくりと2回深呼吸した。

サッとヴァイオリンを構えたかと思うと、曲のタイトルも告げずに演奏し始めた。

「いきなりだな、おい」

詩月はヴァイオリンの1音目を聴き、ピアノを奏で始めた。

ブラームス/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第1番 ト長調Op.78「雨の歌」。

サロン「フレデリック」で詩月と貢が弾いた曲だった。

詩月は貢がサロンでの演奏がよほど気になっていたのだろうと思う。