LIBERTEーー君に

エリザベートコンクールを制した自信だけではないと思った。

「安坂さん。ミヒャエルと演奏してみませんか、イヤでなければ」

「それより周桜、曲の解釈を見直したい。……全曲」

貢がおずおずと楽譜を広げた。

「そう言われると思っていました」

「昨日、合わせてみて、周桜に言われて絶対に勝ちたいと思った。コンクール以前に周桜、お前に負けたくないと思った」

詩月は貢の告白を聞き終え、自分の楽譜を広げた。

ミヒャエルが詩月の広げた楽譜を覗きこみ、「ゲッ」と牛蛙の鳴き声のような声を出し、息を飲みこんだ。

「何だよ、それ!? 詩月、お前の楽譜スゲーな」

「ミヒャエル。安坂さんとじっくり煮詰めたいから」

「は~い」

ミヒャエルは残念そうに席を立った。

「ミヒャエル、暇なら手伝ってよ」

ビアンカがビールケースを抱えて、カウンターから叫んだ。