LIBERTEーー君に

詩月が害うと、ミヒャエルが「ああ」とあっさり頷いた。

「伴奏が必要なのは、セミファイナルのみ。3曲選択のうち、実際に演奏するのは指定された1曲だけど。どれを指定されるかわからない。3曲とも弾きこなせなきゃならない」

「キツイ規定(ルール)だよな」

「僕の仕事は安坂さんの課題曲とミヒャエルの課題曲の伴奏、ソナタは演奏。2人の課題曲は被らないから計6曲。1ヶ月半、実践でいく」

「実践?」

「じっくり練習している時間が惜しい。アマデウス、フレデリック、BAL、街頭」

「そ、そういうこと……」

「課題曲はしっかり入っているし、個々では仕上っているんだから、籠って練習しなくていいだろ」

詩月の言いたいことは、貢もミヒャエルも理解はできた。

演奏する場所を変えながら、聴き手の質を変えながら、演奏していく。

頭では解るが、そういう練習を2人ともやったことがなかった。

「ずいぶん荒いやり方だな」