LIBERTEーー君に

2人のデュオは息がピッタリで羨ましかったし、憎らしくなるほど上手かった。

「安坂さん。ピアノ伴奏との合わせを3人で、スケジュール調整しておきたいんで、一緒にBALへ出かけませんか」

詩月は昨日の演奏など全く気にしていない素振りで、貢を誘った。

BALに着くと、まだ午前中だというのに酒飲みたちが溢れていた。

「あんたが詩月の先輩、貢?」

詩月と貢が席につき、楽譜とスケジュール帳を広げていると、ミヒャエルが珈琲と紅茶を乗せたトレイを持って現れた。

「ミヒャエル、座って。バイトまでまだ時間あるだろ」

「会うのは初めてだな。妙な縁だけど」

ミヒャエルは言いながら詩月の隣に座った。

「よろしく」

貢は無愛想に言うと右手を差し出した。

ミヒャエルと貢はニコリともせずに、握手を交わした。

「さっそくだけど、ミヒャエル。スケジュール調整をしたいんだ。いいかな」