LIBERTEーー君に

やもたまらず楽譜を纏めて、演奏室に向かった。

弾くしかないと思った。

演奏するしかないと思った。

詩月の楽譜を思い出し、詩月のピアノに埋もれないよう、負けないように、弾くしかないと思った。

演奏室に入るなり、防音機能をONにした。

こうではない、違う、こう弾けばと試行錯誤しながら、ひたすらに、どう弾けばいいかを考えて弾いた。

どう弾いても、詩月のピアノ伴奏には釣り合わないと思った。

納得がいく演奏にはならなかった。

ブラームス/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第1番 ト長調Op.78「雨の歌」。

ーーサロンで合わせた曲も周桜の演奏にどうにか着いていけただけで周桜の伴奏がなければ、場がしらけていた

貢の中で悔しさは増幅して、胸が張り裂けそうだった。

「雨の歌」ーー詩月がストリーを想像し書きこんでいた内容は、どうだったかをしきりに思い浮かべて弾いた。