LIBERTEーー君に

ーー何故、独奏で盛り下がる? 最初の見せ場だろ。ヴァイオリンが翼を得て、沃野千里を羽ばたいていく感じなのに。真面目に弾いている場合か? 自由に奏でていいのに

詩月はもどかしくて堪らない。

「安坂さん。真面目で綺麗な、気取った演奏はいらない。ここに審査員はいない」

詩月は声を張り上げ、叫びたかった。

「ヴァイオリンは主役、堂々と弾いていい」

詩月が貢に聞こえるように言うと、貢のヴァイオリンが一瞬、乱れた。

「カデンツァ風に、伸び伸びと情熱的に、華やかに主張していい」

詩月は続けて言いながら、貢の演奏を挑発していく。

ーー何が起きているのか? 周桜は何故、こうも煽ってくるのか

貢は詩月のピアノに戸惑いながら、懸命に食らいついた。

染み渡るように表情を持ち,独奏ヴァイオリンが奏でられる第2主題。