LIBERTEーー君に

「ピアノ、弾きますから、ヴァイオリン思い切り弾いてください。容赦なしに弾きますから、覚悟してくたさいね」

詩月は貢の演奏が大人しいとか、癖がないとか、真面目だとか、どうでもいいと思った。

貢自身が、演奏を思い切り楽しめればいいと思った。

貢の演奏を客が思う存分、楽しんで聴ければいいと思った。

ミヒャエルなら「本気の演奏してみろよ、気取った演奏してんじゃねぇ」とでも、言うのだろう。

詩月はそう思うと、ワクワクして仕方なかった。

チャイコフスキー、ヴァイオリン協奏曲ニ長調は 4分の4拍子 ソナタ形式だ。

ヴァイオリンの音色がクレッシェンドで始まる。

ピアノとヴァイオリンの音色が、フオルテまで盛り上がった後、俄かに静かになり、ヴァイオリンがソロ演奏を始める。

詩月がピアノで盛り上げた曲が、ヴァイオリン独奏が始まると、大人しくなった。