LIBERTEーー君に

「BALも君のサロンも、予防対策はじゅうぶんしているんだ。俺も君も気がけて様子を観ている。送迎もしているだろ。それに詩月は消毒薬も持ち歩いている」

「でも……」

「詩月は毎日パルスオキシメーターで、血中の酸素飽和度を測っているし、感染検査キットもたくさん確保している。俺たちが思うよりずっと予防対策をしている。頼りないように見えるが、しっかりしているよ」

ユリウスはマルグリットの肩を抱き寄せ慰めた。

貢は寝がけに、ユリウスとマルグリットの話し声がしているのを聞き、盗み聞きはいけないと思いながら動けなかった。

新型ウィルス拡大は、発生発覚から7ヶ月以上経っても収まる気配がなかった。

感染は拡大するばかりで、医療機関もウィルス感染者の入院を受け入れる猶予がなくなっていた。

医療従事者は感染拡大で、ほぼ休日なしで勤務していると聞く。

入院ベッド数が足らず自宅療養をしている感染者数の増加も、勢いが止まらなかった。