詩月自身が作曲した「ヴァイオリンロマンス」だ。

着想は詩月が聖諒学園伝説の手順を踏み、条件全てをクリアして聴いた曲「ヴァイオリンロマンス」だ。

詩月がそれを編集し、ヴァイオリンソロ用、ヴァイオリンとピアノ演奏用、オーケストラ用、金管楽器用それぞれに書き興した曲だ。

聖諒学園学長によりＣＤ化もされ、聖諒学園の学園行事や文化祭などには学内オーケストラが必ず披露する曲でもある。

留学前まで共演していたアイドルグループXCEONにも学曲提供し、彼らが演奏目標にしている曲としても知られている。

「時間、いいのか。ピアノのレッスンがあるんだろ？」

詩月はミヒャエルに言われＢＡＬの壁時計をチラと観て、「あっ」と思い出したように立ち上がった。

詩月が立ち上がった拍子に、机の上に広げていた楽譜が、ハラリと床に散らばる。

ミヒャエルが楽譜を拾い上げながら、思わず「スゲェ」と溢した。