──エルが来なくなってから十日が経った。

 エルが来なくなっても相変わらず贈り物は届けられるから、何処かで祓われた訳ではないと分かるけれど……。

 それでもエルが来るようになってから、今まで五日と空いた事が無かったので流石に心配だ。


(今日は来てくれるかな? せめて元気だと知る事が出来れば良いのに……)


 この王国は法国にとって物理的に重要な場所に位置しているから、かなり高位の聖職者が訪れる事も珍しくない。そうなると必然、護衛の質も高くなる訳で。

 聖騎士団に見付かったら流石のエルも無事では済まないと思う。


(エルの事だから騎士団に見付からないように注意はするとは思うけれど、どうやらエルはこの国の内情を知りたいみたいなんだよね……私に街の様子や領主の事を調べさせようとしたぐらいなんだし)


 一体エルが何を考えているのか、全く分からないのがもどかしい。私に手伝える事があればいいのに。まあ、巫女見習いの私にできる事なんて何もないかも知れないけれど。