何処から何処までが夢なのか、もしかして自分に都合の良い夢を見ていただけなのか……今の私には判断がつかない。


「あ! エルに贈ろうと思っていたハンカチがない……!」


 もしかして、と思い、ハンカチを置いていた場所を確認すると、エルのハンカチは綺麗に無くなっていた。


「……という事は夢じゃない……よね。じゃあ、エルにハンカチは渡せたんだ」


 色々と腑に落ち無い事はあるけれど、取り敢えず昨日の事は夢じゃなかったらしい。


(最後に見たあの光は何だったんだろう……? エルは大丈夫なのかな……)


 エルが来たら昨日の事を聞こうと思い、一旦頭の中から追い出すと、私はいつものように孤児院の仕事を始める事にする。


 そうして何日か過ごしながら、エルが来るのを待っていたけれど、約束の一週間が経ってもエルがやって来る事はなかったのだった。