(うーん、色んな情報を持っていそうなエルがこう言うんだから、きっと従った方が良いんだろうな)
エルが私達に害を及ぼす筈がない──仮にも聖職者が悪魔相手にそこまで信じてしまって良いのかと言われそうだけど、この短い間の付き合いでもエルから悪意を感じた事は一度もない。
それに私はエルの事が──……好き、なのだ。自覚したばかりだけれど、私は確かにエルに惹かれている。であれば、私は自分が好きになった人を信じたい。
「分かったよ。エルの言う通りにする」
私が理由を聞かずに了承した事にエルは驚き、綺麗な紅玉の瞳を大きく見開いた。
「──貴女は、僕の事を悪魔だと思っているのですよね? なのに何故そんなにあっさりと信用するのですか?」
(う……っ! やっぱりそう思うよね……。でも正直にエルが好きだからって言うのもな……。今はその時じゃないっていうか……)
「え……っと、その、エルは私と取引しているでしょ? 悪魔は取引が終わるまでは相手の人間を害さないって話だし、だから大丈夫かなって……」



