「当たり前です。彼には重々注意して下さい。それとしばらくは街に行かないで下さいね。必要なものはこちらで揃えますから、遠慮なく言って下さい」


 市場で会った時の様子からしてテオに警戒した方が良いのは同感だけど、街に行くなとまで言われるとは思わなかった。


「……いつまで? いつまで籠もっていなきゃいけないの?」


 二、三日程なら問題ないだろうけど、一ヶ月と言われるのは流石に困る。こちらにも都合というものがあるのだ。


「そうですね……恐らく一週間もあれば、或いは……」


 エルの言い回しに、私は他に何か理由があるのだと気付く。テオの事だけじゃない、何かがこの街で起こっているのかもしれない。


「一週間なら何とかなると思うけど……でも、どうして? 理由は教えてくれるんだよね?」


 意味もなく一週間も籠もらないといけないなんて、そんな事が許容出来る筈もなく。せめて納得出来る理由があるのなら、とエルに聞いてみる。


「もちろん理由はありますが、それを貴女に話しても納得してくれるかどうか……」


 言い淀むエルに、理由を聞き出すのは大変そうだな、と感じた私はどうしたものかと考える。