「あらあら、好きな人の事を考えているのかしら? 頬を染めちゃって可愛いわぁ」
エルの事を思い出していたら、クラリッサさんにそんな事を言われてしまい、反論もろくに出来ないまま私の顔はどんどん赤くなる。
「まあ……! 本当だったのね……。ごめんなさい、サラちゃん。揶揄うような事を言ってしまって。サラちゃんに好きな人が出来て嬉しいわ。きっととても素敵な人なのね」
私の様子に心情を察してくれたクラリッサさんが、頭をよしよしと撫でながら謝ってくれる。
(……うぅ……認めたくなかったけど、やっぱりそういう事だよね……)
綺麗で優しくて、気遣いが出来て……何より、私の押しつぶされそうだった心を救ってくれた。そんな人に惹かれない筈がなかったのだ。
──私は無駄な抵抗を諦めた。
理由を付けて否定する事で、自分の気持ちを誤魔化していた……それはきっと、傷つきたくなかったからなのだと今なら分かる。
エルが何者でも関係ない──私はあの美しい悪魔に、恋をしているのだ。