「もう! サラちゃんったら可愛すぎよ! うちの子にしたいぐらい! でも抜け駆けはダメって掟があるし……!」
クラリッサさんが何かぶつぶつと呟いているけれど、クラリッサさんのふくよかな胸に顔が埋まっている私の耳では良く聞こえない。
それからしばらく抱きしめられた後、よしよしと頭を撫でられ、ようやくクラリッサさんから解放された。すごく嬉しいけれどちょっと苦しい。でもこうして誰かに抱きしめられるのってすごく癒されるんだな、って実感した。
「そう言えば、最近のサラちゃんは表情がすごく明るくなったねってみんな言っているわよ」
「え? 本当? 私そんなに暗かった?」
なるべく顔に出ないように気を付けていたけれど、いつの間にか悲壮感を醸し出していたのだろうか。最近まで本当に生活がギリギリだったしな。
「そうね。いつも笑顔だったけど、ふとした拍子にね」
どうやら私が孤児院の事で悩んでいた事は街のみんなにダダ漏れだったらしい。



