巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。


 サラに相手にされないテオバルトは、神殿の司祭が不在なのを利用し、神殿や孤児院に渡すべき資金の支払いを停止させ、生活に困窮したサラが自分を頼って来るのを待っていたのだ。だが、資金提供を止めてそろそろ一年にもなろうとしているのに、サラが自分の元へ来る様子は無い。


「邪魔な司祭が帰ってくるまでにサラを手に入れたいのに……!」


 司祭がいた時はサラに接触しようとするといつも邪魔をされていた。だからサラを手に入れるのであれば今が絶好の機会なのだ。


「そもそも、あんなガキどもがいるから、サラは俺の誘いを受けられないんだ……! クソッ! ガキどもさえいなければ……」


 テオバルトは孤児院の子供達が以前から邪魔で仕方がなかった。何故ならサラを誘っても子供達を理由にいつも断られているからだ。

 しかし本の間から聞こえた不機嫌な声に、テオバルトの思考が逸らされる。


「お前が資金さえ止めればあの娘が手に入るので協力してくれ、と懇願したからその通りにしてやったと言うのに……情けない奴だ」