「俺もそう思ってサラに会いに行ったんだけどよ! それが全然平気そうなんだよ! ガキ共の服が買えないぐらい困ってるハズなのに!!」
通常であれば、神殿に併設されている孤児院には神殿本部から援助金が、街の領主からも補助金が支給される事になっている。だが、サラがいる孤児院には長い間それらのお金は支給されていない。
それは全て領主であるセレドニオが、息子であるテオバルトの望みを叶える為であった。
「資金が無くなれば俺を頼ってくると思っていたのに……! 一体どうなってんだよ……!」
テオバルトはずっと昔からサラが好きだったが、全く相手にされていなかった。彼なりにサラに振り向いてもらおうと、あの手この手で挑んだものの全てが玉砕している。
その手段が自分の裕福さや顔の良さのアピールだったり、ワザと女の子を侍らせてみたりと間違った方向に進んでいるのだから、相手にされないのも仕方が無い事だろう。
だけど馬鹿なテオバルトは自分の間違いに気付かない。



