巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。


 市場を歩いていると、顔なじみの店主さん達が次々と声を掛けてくれる。いつも私や子供達の事を心配してくれている優しい人達だ。


「ヤンさんこんにちはー! うん、元気だよー!」


「エイネさんお久しぶりです! 王都には半日しかいられなくて残念だった!」


「ダンさんこんにちはー! チビ達は元気いっぱいだよ!」


 お店の人達と挨拶を交わしながら市場を歩く。小さい頃から司祭様に連れられてよく来ていたからか、市場の人達とはすっかり顔なじみだ。買い物をすると皆んなさりげなくおまけしてくれるし、本当にこの街の人達のは助けられているな、と思う。


 そうしてお肉屋さんで買った食材を孤児院に届けて貰うようにお願いしている時、後ろから声を掛けられた。


「よう! サラ! ここで会うのは久しぶりだな!」


「げ、テオ……!」


 まさかここでテオと鉢合わせするなんて! さっきまで凄く良い気分だったのに!


「おいおい、『げ』ってなんだよ!『げ』って! ……ま、いいか。折角会ったんだし、お茶でも一緒にしようぜ!」


「え、無理」