そんな人気店で私の作った商品が置いて貰えるなんて、すごく運がいいと思う。

 それにランベルト商会は大店なのに暴利を貪ったりせず、真っ当な取引をしてくれるから世間からの信頼も厚い。


 私は人でごった返す店内を進み、店の奥の方にある商談室へと足を運ぶ。そして商談室と書かれたプレートが掛かっているドアをノックすると、中から上品な声で「どうぞ」と返事があった。


「失礼します」


 挨拶をしてから中に入ると、少し年配の優しそうな女性が笑顔で私を迎え入れてくれた。


「サラ、久しぶりね。待っていたわ」


「ナターリエさん、こんにちは。お久しぶりです」


 ナターリエさんは孤児院が困窮している時、私に刺繍の仕事を斡旋してくれた恩人だ。それに女がてらに大商会の副支店長になるほど仕事が出来る人で、私の憧れでもある。


「じゃあ、早速見せて貰おうかしら。貴女の作品、とても楽しみにしていたのよ」


「有難うございます! こちらになります。よろしくお願いします」


 私は鞄の中から刺繍した品々を出し、ナターリエさんに渡す。これから売り物になるかどうかのチェックをして貰うのだ。